移住の「最初の一歩」は、一次情報を持っている人の話を聴くこと

前々回はWHY・WHAT・HOWという3つの問い、前回はそれを書き出すためのチェックシートをお伝えしました。実際に手を動かして書き出してみた、という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、書き出してみたものの「で、これから何をすればいいんだろう」と固まってしまう方も少なくありません。自分で書きあげたものを何度も眺めた末に、そのまま引き出しにしまい込んでしまう。そんな話もよく耳にします。今回は、その先の一歩をどう選べばいいのか、という話をお伝えします。

目次

「動けない」のは、真剣に考えていることの証

ふるさと回帰支援センターの発表によると、2025年8月の移住相談件数は6,303件と過去最高を記録したそうです。移住への関心自体は、間違いなく高まり続けています。一方で、ニュートラルワークス社が行った調査では、移住を検討した人のうち実際に移住した人は半数にとどまらず、49.8%が「思いとどまった」と回答しています。思いとどまった理由として最も多く挙げられたのは「人間関係への不安」、次いで「金銭的な不安」でした。関心はあるのに、動けない。これは意志が弱いからではなく、むしろ真剣に考えているからこそ起きる、ごく自然な足踏みなのだと思います。情報を集めれば集めるほど、決めなければいけないことの多さに圧倒されてしまう。私自身、出張から戻って「住んでみたい」という気持ちが芽生えてからも、実際に動き出すまでには時間がかかりました。仕事のこと、住まいのこと、家族のこと。考えなければいけないことを並べれば並べるほど、どれから手をつけていいのか分からなくなり、結局どれにも手をつけられない。今思えば、あの頃の私に必要だったのは、もっと詳しい情報ではなく、「今はまだ何も決めなくていい」という許可のようなものだったのかもしれません。

一歩目は「一次情報を持っている人の話を聴く」こと

動けなくなる原因が「決めることの多さ」にあるなら、「どうやって決めればいいのか」など意思決定のプロセスを明確にすることが解決策につながります。そのために、最初の一歩としてやることは「一次情報を持っている人の話を聴く」ことから始めるのがおすすめです。ここでいう一次情報とは、SNSから集めた二次情報ではなく、実際にその場所にいる人が肌で感じて体験したからこそ得られる「生きた情報」のことです。

移住相談窓口を一つ、のぞいてみる

ふるさと回帰支援センターのような全国規模の相談窓口や、北海道庁の移住定住ポータルのような自治体窓口は、話を聞くだけでも歓迎してくれます。「まだ本気で決めていないのですが」と前置きしてしまって構いません。窓口の担当者は、そういう段階の相談に日常的に対応しています。

移住フェアに顔を出してみる

各地で開催されている移住フェアは、オンライン開催のものも増えていて、以前より気軽に参加できるようになりました。何かを申し込む必要はなく、ブースを眺めて回るだけでも、自分がどんな情報に興味を惹かれるのかが見えてきます。

すでに移住した人に、そのまま気持ちを話してみる

以前の記事で、私が移住を考えはじめた頃、まだ一度も札幌を訪れたことのなかった妻に相談した話をお伝えしました。理路整然と説明しようとするのではなく、出張中に感じたワクワクをそのまま伝えたところ、思っていたよりあっさりと前向きな返事がもらえました。飾らない気持ちを誰かに話してみることは、それ自体が立派な一歩です。

チェックシートのQ1を、一つだけ深掘りしてみる

前回のチェックシートには、HOWの問いとして「今、知りたいことは何ですか?」という項目がありました。ここで挙げた項目の中から、まずは気になるものを一つだけ選んで、それだけを今週じっくり調べてみましょう。仕事のことも、住まいのことも、費用のことも、子どものことも、一つずつ順番に向き合えば十分です。一つが片づけば、次に気になることが自然と見えてきます。

調べるときは、以前の記事も道具として使ってください

「何から調べればいいか分からない」という方のために、以前このブログで「札幌への移住 お役立ち情報」と「札幌への移住を紹介するサイト」という2本の記事をまとめています。ゼロから検索エンジンで探し回らなくても、まずはそこに載っている窓口やサイトを一つ開いてみるだけで、十分な調べ物のきっかけになります。道具はすでに用意してありますので、遠慮なく使ってください。

小さな一歩の先にあるもの

住居を探すこと、今の家を売ること、新しい仕事を探すこと。何一つ着手していなかった頃の私にとって、これらはすべて途方もない絵空事のように感じられていました。けれど実際に専門家へ相談するという小さな一歩を踏み出してみると、思っていたよりずっと早く物事が形になっていきました。不安がなかったわけではありませんが、次に何が待っているのだろうというワクワクのほうが、いつも少しだけ勝っていたように思います。振り返ってみると、最初の一歩さえ踏み出してしまえば、その先の道は意外と自然に続いていくものです。真剣になって動いていると助けてくれる人がどんどん増えてきます。そうすると集まる情報もどんどん増えてきます。やることも増え、費やす時間も長くなります。でも、このような時間はあっという間に過ぎ去っていきます。むしろ一歩目を踏み出す前の、あの「動けない」時間のほうが、今思うといちばん長く、重く感じられていました。

まとめ

情報を集めすぎて動けなくなっているとしたら、それは足りないのではなく、むしろ十分すぎるくらい考えている証拠です。次に必要なのは、もっと調べることではなく、一次情報を持っている人の話を聴くことだけです。窓口に話を聞きに行く、フェアをのぞいてみる、誰かに気持ちを話してみる。どれも、今日のうちに始められることです。想像や伝え聞いた情報ではなく、現場で体験した人だけが知っている情報に触れること、これが大事です。仕事や住まいをどう具体的に進めていくかという実務的な話は、また改めてじっくりお伝えします。今はまず、小さな一歩をひとつ選んで、行動に移してみてください。

参考文献:

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